修士論文”PbTiO3スパッタ膜の形成とその応用に関する研究”
 84年度 信州大学大学院工学部電子工学課 深海研究室

2019.05.22(since2017.11.12)
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手元にある青焼きコピーからイメージスキャナでコピーしたのがあります。  なお"ふかかい"研究室と罰当たりな読み方をしてはいけません。

見てはいけません
まれにみる悪筆です(今自分で見ても恥ずかしい)。一文字一文字字の向き(傾き)が違うから見ずらいね。きちんとした仕事ができない性格なんでしょう。
漢字も書けません。日本語も怪しい(読むのは好きだけど書くのは)。
青焼きからのスキャンなのでそもそも見難い。
見る価値無いと思います
学部は他の事(回路系)やっていたので修士課程2年ででっち上げたものです(一般には学部1年プラス修士2年間の結果)。
研究室の主流派テーマではありません(新入りなのでわかりやすい目標テーマを授かる)。

  ↑を判ったうえでどうしてもというなら、どうぞ。 でもきっと後悔します。 

リンク先はPDFファイルです。ダウンロードするのもよし、pdf表示できるプラグインあるブラウザで表示するのもよし。 
中には数Mbyteのファイルもありますので、モバイルとか低速回線の方要注意。 やはり開かない方がいいと思いますよ。

(2018.10.02)注意:忍者ホームページ(無料版)には1ファイルあたり3Mbyteの壁があるので、以下修士論文当面読めません
(2019.05.22) ファイルを分割して置いてみる。 ”読んでココ”というエプソンプリンタにバンドルされた文字認識ソフトエプソンに吸収されたがサポート中止になった。どのみち下手くそな手書き文字はまったく認証できなかった模様。

概要 たぶん学内の論文発表会用の資料(どうしてもというならこれだけ見るのが無難)(2Mbyte)

目次 ”PbTiO3スパッタ膜の形成とその応用に関する研究”表紙と目次(0.8Mbyte)
1章 序論(1Mbyte)
2章 重畳磁界平板マグネトロンスパッタ装置(8Mbyte)  2-1  2-2  2-3
3章 制御磁極を有す平板マグネトロンスパッタによる層状膜形成への試み(6Mbyte)3-1 3-2 3-3
4章 PbTiO3スパッタ膜の特性(8Mbyte) 4-1 4-2 4-3 4-4
5章 弾性表面派を利用した湿度センサ(4Mbyte) 5-1 5-2
6章
 まとめ、付録(4Mbyte) 章6 付録 引用

-------------- 解説 スパッタとは  --------------

一般の人になじみがないと思うので、スパッタについてちょっと解説。(2017.12.07) 公式記録のページより移動

一言でいうと、メッキ・表面コーディングの方法の一つだと思えばいいかな? 陶器だと釉薬にどぶ付けするイメージとか、電解液につけてイオンが電極に集まってひっつける電気メッキ(中学校あたりで今も実験するんだろうか?)なんていうのも代表の一つで、これを、ウエット方式と分類すると、スパッタは真空装置のなかの乾燥した状態で膜をつけるドライ方式と分類されるものの一つです。刷毛でペンキを塗るのもこのウエット方式の範疇に入る??

ドライ方式の一番有名なのは、真空蒸着と呼ぶもので、金属等を、真空中で熱で蒸発(気化・昇華)させると、全面に飛び散って、狙いのもの(ターゲット)に金属皮膜を作ります。電子部品の導電層というのが、私のイメージですが、光学レンズの表面コーティング等の割と身近な製品にも使われているそうです。 そのエネルギーは熱。 白熱電球がだんだん黒ずむのも原理はこれかな?

これに対して、ドライ方式の雄スパッタ―という言葉は、唾を吐きつけるというようなスラングらしい。
簡単に例えると、水面にビー玉を落とすと、水が四方八方に飛び散るでしょう? そのとびちった水が、(決まりは無いけど例えば)上方に置いてある物を濡らすイメージを想像してください。(液体は濡れるだけだけど、個体の場合だと張り付く)。 下世話な話、”汲み取り式和式便所で、”おつりがくる”表現の、お尻に物がくっつく..  お、お食事中の方御免なさい<(_ _)>

実際には、真空中で電圧(電界)加速したプラス(+)イオンを、マイナス電極に置いた作りたい膜の元となる金属等のターゲットにぶつけて、飛び散ったものが、対向する膜をつけたい基板(サブストレート)に付着して皮膜を作ります。 蒸着の熱エネルギーより、高電圧で加速した運動量のエネルギーがはるかに大きいの(4~5桁説)で、より附着強度の高い皮膜を作ることができます。 また、蒸着では、元素の飛び出すところが点なのに対して、スパッタではターゲットに対しても十分広い面から、物質が飛び出しますから、基板の凹凸等の陰に膜がつかないという一点から放出する場合の欠点が改善されます(cmとかmmのオーダの陰ではなく、膜にする分子のレベルで考えて巨大な凸凹があると一方向からしか飛んでこないとその陰に膜がつかないというオーダの話)。 その代わり、真空蒸着は加熱の一瞬で済みますが、スパッタは時間がかかります。学生実験でそれなりの薄膜を作る実験には、スパッタ装置昼夜運転(泊まり込み)というのは、日常茶飯事でした(さすがに、半導体工場なんかで使うのは、電力も投入できるし早いみたいですが)。
もう一つのメリットは、蒸着は加熱で溶けるのが前提ですが(レーザ照射とか工夫はありますが)、スパッタは物理的な衝突によるものなので、簡単に溶けないものでも可能です。 また、さらに、例えば酸素の雰囲気で酸化膜を作るとか応用がいろいろあります。 

研究テーマでは、チタン酸鉛という誘電体(つまり絶縁体)を作ろうとしています。これには、もちろん、チタン酸鉛の固体に、イオンをぶつけて、飛び上がったもので、膜をつくることもできるはずですが、この物質のプラズマ領域に対して十分巨大な塊作るのは難しいし、なんせ、誘電体ですから、(+)イオンがぶつかるたびにプラスに(+)帯電して、電界をかけても、プラス(+)イオンがだんだんそっちに飛んで行ってくれなくなります。 RFスパッタという方法で対応できる(なんじゃないかな?良く知らね)そうですが、我々は、チタンの板と、鉛の板というともに金属の板を利用します。これらは金属なのでイオンがぶつかっても帯電せず電源に逃がしてしまえます。酸化膜にするために、真空といっても、イオンにすべきアルゴンと、酸素も混ぜた気体をいれた比較的低真空で行います(最初に真空ポンプで装置の中を中~高真空にして、余計な不順分子を極力排除してから、アルゴン・酸素混合気体を、プラズマが起こせる程度の濃度に流入させます)。 基板温度の管理(加熱:何十度ではなく何百度)とか、アニール(熱処理)や分極の後処理により、鉛、チタンの粒が混ざっただけのアモルファスという集合体ではなく、チタン酸鉛という分子に作り替えていきます。 この時に、金属の面積や配置をどのように選べば、PBと、TIの比率が、均一で1:1にできるか?というのが、研究テーマの一つだったりします。余談ながら、陰極側(マイナス)のターゲット側は、イオンが常時ぶつかり続けて温度が上昇するので、水冷するのが一般的装置の構造だと思います。

で、ぶつけるのは、アルゴン(+)イオンが普通だと思いますが、高電界において、絶縁破壊したアルゴンは電子を失ってAr+ですし、加速した(エネルギーの大きな)電子をぶつけると、Ar-になるんじゃなくて、外殻電子にエネルギーを与えて、電子が飛び出してしまって、こちらもAr+が出来上がります。これを電界で加速して、マイナス電極に置いた、膜の元成分物質(ターゲット)にぶつけるわけです。

膜を早く作るためには、Ar+イオンを大量に作りたい。 そのためには、衝突で発生するγ電子を、できるだけ、ターゲットの近傍に集めて衝突回数を増やす:プラズマ状態を作りたいわけです。
そのために、利用するのが、磁石。、膜の元となるの物質(ターゲット)に、並行した磁界部分ができるよう磁気回路を作り、電子が、サイクロトロン運動(螺旋円を描く)をすることで、狭い領域に閉じ込められるブラズマ領域が、作られます(簡単にいえば、ターゲットの中心と周辺がS極、N極にすると中間は陰極と並行磁界の部分ができる)。 また、質量は軽いんでしょうが、エネルギーの大きなγ電子は、磁場がなければ、陽極におかれた基板に直接ぶつかって、せっかく作っている膜にダメージを与えてしまいます。これを防ぐ意味でもマグネトロンという磁気回路の有力な点と言えます(スパッタは特に上にだけ飛び出すわけでは無いので、陽極を避けて、横方向に基板を置くというのもアイデアだそうです。でも効率悪そうな気がする)。
詳細省略すると、磁石のつくる磁界によって、同心円状のプラズマができるため、チタンと鉛を、大きい円盤の中に小さい円盤として乗せるというのでは、わずかな変動で、どっちの金属が度の割合でスパッタされるか、不安定になってしまいます。 したがって、扇形に切ったものを、重ねて、同心円が多少内側によっても、外側によっても、比率が変わらないという運用が必要になります。(余談ですがスパッタ効率(アルゴンイオンが1ケぶつかってどれくらいの元素が飛び出すか?)が違うので、1:1の組成を作りたいといっても、扇形の角度比が1:1になるわけではありません)。

我々の研究の最終目的は、電磁石(コイル:ソレノイド)の作る磁界と、本来の装置の中の磁石による磁界の合成により、プラズマのできる位置を、内側、外側に自在にコントロールできるならば、扇型にならべるのではなく、内側と外側の組成比率が変わるものを用意して、場所を選んで、スパッタされる組成を変えることができる。すなわち、時間軸で磁界コントロールすると膜の厚み方向で、組成を変えることができる装置を作るという最終目標がありました。雑誌の記事は、この外部コントロール磁界によって、実際にスパッタされるのが、どのようにコントロールできるのか?という報告になっているようです。

まあ、理想は高く、こつこつと、ということだったかな? 研究室の後輩君たちがこの研究の後をついだのかどうか心もとない(目が出そうに無いと捨てられたかも)。
(2017.11.07)先生方が、”分子層制御スパッタ方式によるジルコン・チタン酸鉛膜のエピタキシヤル成長”という研究されているようなので、ちょっと違う物質(PZT)を目標にしていますが、組成コントロールというテーマは続いているように思います(門外漢なので良く解んねぇけど、予備実験程度には、役に立てたとしたら光栄ですね)。(2017.11.09)PZTという物質は、研究室の主流派テーマで先代院生から、我々世代(同級生や後輩)以降に引き継がれてきたテーマですので、私の傍流テーマからは寄与それほど大きくないかも。


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