エレキギターに関して

2017.01.11
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親戚からエレキギターのリペアで相談を受ける。ピックアップの交換をしたいとのこと。

ピックアップの極性は、並べて外部から同時にショックを与えて発電の向きをオシロで確認。 結果はまあ妥当。 既存のピックアップ1はシールドタイプケーブルの網のシールド線と、新規のピックアップ2は、黒いリードが同極性。 従来のピックアップ1のシールド線が、ボリューム(ポット:ポテンショメータというらしいが辞書によると可変抵抗ではなく半固定抵抗を示す気がするので誤用で無いかい?)の外器に1端子と一緒に接続されているので、仮にコールド側と呼ぶ。

はんだ付け:ボリュームの端子部分ならたいしたことないのだろうが、システムグランドとして、ボリューム1端子と金属外器をつないで利用している。外器はさすがに熱容量大きいので、小さな半田ごてでは難しそう。 30wのもので苦労したらしくヤニでべとべとしていた。 容量の大きな半田ごてを使うことで解決。 手持ちのTQ-77という速熱ピストル型90w半田ごてが役に立ちました。アルミケースにグランド落とすなどこれくらいの容量無いと大変です(実はこれでも熱量不足を感じる用途があるのは事実)。 小手先を樹脂キャップ保護できるので、取扱いにも優れる。 電気回路用にはホーザンのHS11を利用していますが、こっちは持ち手と小手先の距離が短いため手首を机の上につけて小手先コントロールできるし、小手先が細いので、ICの0.5mmピッチの足に解析用にリード線をはんだ付けする場合など重宝しています(サンハヤトが0.5mm対応ICクリップだしたので頻度は少ない)。 いい道具を選びましょう。

さて、トーンコントロールというRCローパスフィルタについて相談をうける。 オイルコンデンサ―が使われているが、22nFであって、耐圧が変わると音が変わるとか。野太い音になるという表現を聴いたきがする。


いろいろ考えても結論はでないので、とりあえず、等価回路でシュミレーション。 ピックアップのL1の値は2~3Hらしい(2.4Hとする)。
共振周波数が6kHz程度ということなので、計算するとコンデンサC2は、300pF程度。 Lの直流抵抗R1が5kΩ(テスター実測)。 他所でコイルなんて配線巻いただけ何で抵抗0に近いという暴言吐いたの謝ります。このクラスでは線長が長いし細いのでこの程度。 長波帯のLも実は抵抗成分大きくて、インピーダンス関連ページの更新滞っています。

C=1/(L*ω^2)=1/(2.4×10-9*(3.14*6kHz)^2)≒300pF

上記はピックアップ単体として前述値を想定したもの。現物見たことがないけど。どうなんでしょうね。理想過ぎてQが高すぎたりするかな?現物は弦毎にコイル巻いてるんだろうから、コイル間の相互誘導Mとかで、もう少しAC抵抗大きくなる気がしないでもない。web見てるとケーブルの容量の影響解いている人もいる。単体で見る場合、少し高め共振かもしれない。

下記は、上記ピックアップにトーンコントロール用のコンデンサC1とボリュームR2を追加した回路。

さて、このスパイス出力の解析(AC解析.acで、100Hz~100kHzまで。人間の聞こえる上限は20kHz程度)。)。
トーンコンボリュームを、500k~1Ωまで、対数的に変化:ボリュームA特性カーブを想定。

すると、抵抗最大(スルーモード)は、ピックアップの共振周波数6kHzあたりが共振ピーク(中高域が持ちあがる特性)。1弦の開放時は330Hz程度なので、ピークは5~6オクターブ上のあたり。

トーンコンの下げていくと、最初はQが下がって、共振によるゲインアップがなくなる(カットオフ周波数はあまり変わらない)。
→ 肩がお持ちる(徐々に高音がでなくなる)。 すなおなRC ローバスフィルタの特性。
→さらに下げると、外付C1 22nFと、ピックアップLによる共振ピークがアップする。この時カットオフが下がらなくなる(共振ピークが上がって全体のレベルが上がるので、高域のゲインがあまり動かない)。

特徴は、ピックアップの共振点が示す帯域からボリュームマックスで、外付け共振ピークのつくる周波数帯域で動く。
ボリューム最小近傍は、共振Qが下がって高域ピークゲインが平坦な方向に。
一定域よいボリュームを下げてもカットオフはあまり動かず、中域が徐々に強調される特性に見える。
 最初単純なローパスフィルタかと思ったが、一つのボリュームで高域アップと中域アップの兼用の面白い設計だというのが解る。

この中域アップに関して。6~700Hzつまり1弦解放弦のオクターブ上あたりが持ち上がる。普通に演奏する基本波程度までフラットに出すのも特徴。 ここから考えると、低音が野太くなるというのは、高音が寂しくなるという解釈ではなく、演奏する基本波の高いほうを持ち上がる現象をしめしていると思われる。逆にもこもこした音というのは共振周波数が低いので、この1弦解放時基本波(通常演奏基本波帯域))が減衰することをさしているのでしょうね。

ところで、耐圧の違う同じ容量のコンデンサに変えた場合に音が変わるという意見に対する考察。

・理想的にはあり得ない(同じ種類のコンデンサでそれほどf特の変わるものでは無いはず)。
・古コンデンサで特にオイルコンデンサは容量が抜ける方向らしい(新品に比べ小さくなっている可能性)、
・オイルコンの同じモデルだと、サイズ同じでオイル(誘電体)の特性が違うことがあるらしい。 継時変化がオイルによって違う可能性。

ここからありそうなのは。
・中域の共振周波数が高いほうにシフトして、通常演奏の基本波あたりを強調してくれなくなっている可能性があるかも。
・中域の共振周波数が低いほうにシフトして、通常演奏の基本はがすでに減衰している可能性
(後者だともこもこした音という表現になりそうなので、前者の可能性かと思う。コンデンサの容量が抜ける方法というのともつじつまがあう)

推定結論は

・新品とくらべ容量が変わっている。→高耐圧側の方が、容量の減り方少ない →低耐圧側共振周波数がより下がって、中域の共振ピークが下がる。
      この仮説の判断は、音が違うという2ケのコンデンサのDC容量と、タンデルでも測れば解決する :手に入るかな?

検証方法
低音が豊かになるとしたら、
  ・数百Hz中域のC1:L1の共振回路のピークが鋭い(ボリュームのずれで補正できるはず。解放時に抵抗値が大きすぎる?)) 
  ・↑の共振周波数が周波数にシフト(高いほうにシフトしていたのが、低耐圧の方が容量抜けが大きい)

 コンデンサ容量が少なくなっている前提だと、並列に5~10nF前後のコンデンサを並列に足すことで、コンデンサ取り替えより簡単に試すことができると思います。 もこもこしたらつけすぎなので、もっとちいさいものをつけるようにフィードバック。

推定。15nにすると、共振ピークが高くなり、Qも上がりビークゲインも高くなる。10nFにすれば1kHzに周波数があがりゲインもあがる。他方式で標準という47nFではただハイカットとなり、つまらない音にしかならないと思われる。 > レッツチャレンジ 親戚某

今回ピックアップ変わって、Lの値がすでに違うという前提だったら、コンデンサは増加・減少の両方で、共振周波数の是正を考えるのがいいと思う。

オシロのFFTで、f特ピークわかるものかな?(ボトルネックでスライドしながらじゃかじゃか弾いてみるとか?)チャンスがあったら試してみましょう。

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