LED(Light Emitting Diode)、とDiodeの差(電流制限抵抗)

(since2018.03.27)
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ラズパイのLチカキットで遊んだついでに、LEDとDiodeの若干の違いと、それに起因する電流制限抵抗のお話をちょっとする。

Q.ダイオードと、LED(光エミッションダイオード)の相違は? 
A.どちらも整流素子であるけれども、ついでに光るか光らないか?の差です!

小学校の理科の時間、中学校の技術工作の時間、大学でも電子系でない公開講座の範囲なら、上記の解答で十分だといってもいいでしょう。
しかし、電子工学科専攻の場合は、素人!と馬鹿にされるかも。 回路設計(定数設定等)には同じという感性ではだめでしょう。 そもそも光を放つというのは大変な話です。太陽光発電ってあるでしょう?光のやり取りにはエネルギーが生じます。普通のPN接続障壁より、光を出す分障壁はたかーい!!

整流素子としてみると、実用化されたのは2極管という真空管がはたしていた機能だったりします。その前にも整流素子としては、鉱石ラジオなんて聞いたことないかな?特殊な(でもいろいろあるらしい)石に、針をあてると、場所により(本来は整流作用)検波することができるので、高価な真空管使わなくても無電源でラジオ受信ができていたりします。この特殊な方向性鉱石の性質を突き詰めていった人が半導体ダイオードの基本を作ったという理解でいいかな?
大学では、半導体基板(チップ)の上に不純物を熱で溶かしてダイオードを作る学生実験があった気がしますが、ダイオード作った記憶はあるけど、詳細わすれました。配線をつけるための特殊な導電性溶剤(ドータイト)が界面に少し垂れて、微妙な導通が残って、ダイオードとしては失敗作になって残念な記憶だけ印象にあります。

余談はさておき。ダイオードの場合、パッケージの(マイナスとか管パッケージへのリング)マークがあるのがカソード(陰極)、反対側をアノード(陽極)と呼んで、高電位→(陽極 陰極)→低電位の接続をすると電流が流れます(電流が流れる方向を順方向、流れない方向を逆方向といいます)。オン抵抗は結構低いのでうっかり大電流を流すと、電源か、素子か壊れるので要注意(電源に直にダイオードつないではいけません)。

LEDは、足の長い方がアノードです。うっかり基板に差すのに都合のいい長さに切りそろえてしまうと、陽極陰極が解らなくなるので要注意(パッケージの中大体透視できるので、電極の形を観察すると(理解しなくても、極性わかるLEDの電極と見比べれば)区別がつくことはつくけど、知識がないと難しいかな)。

みなさんが持っている可能性の高いテスターで比べてみましょうか?アナログテスターとディジタルテスターでは実は挙動が違って見えます。抵抗測定するときの動作原理に起因します。 手元の道具箱からLEDとダイオードを選んで実測してみましょう(残念ながらどっちも型名不明なのでスペック調べられない)。

抵抗測定 Diode Diode LED LED
印加電圧 順方向 逆方向 順方向 逆方向
アナログテスター 1.5V 1.3kΩ
ディジタルテスター 0.5V 1MΩ

上記はあくまで個人所有の個体の話。アナログテスターの測定電圧は、普及機なら、基本は内蔵電池電圧基準でしょうし、バッテリーがへたってくるとどんどん測定電圧変わると思います(電池の劣化を、抵抗モードは、ゼロオーム調整ボリュームで補正します)。
デジタルテスターで、ダイオードの順方向抵抗値を測定すると、電流によう温度上昇のためか、徐々に(何十秒というオーダ)で、数百kΩ程度まで値が変わる。測定上限4MΩなので電流が流れているのは間違いないでしょう。

上記は、(3.3V電源)-抵抗(330Ω)+(ダイオード(もしくはLED))-(GPIO7)の直列回路で、GPIO7をトグル動作した場合の波形をしめします。
左図のダイオードは、(結果電流が流れるので)L出力が若干(0.3V程度)持ち上がっていますが、そこから考えると、0.9-0.3=0.6V程度の順方向残留電圧が観察されました。抵抗には(3.3-0.9)Vの電圧がかかっているわけですから、(3.3-0.9)/330=7.2mAの電流が流れるときの残留電圧が0.6V程度ということになります。一般ダイオードの低電流特性は0.6~0.7Vが一般らしいので、その通りの実力だということになります。 逆の見方をすると、論理回路の入力閾値のL側は、0.4V以下というのが普通だと思いますが、それは満足できない。つまり、次段論理回路へLを伝えるのに、ダイオードと抵抗の直列回路は実力不足という言い方もできます。(回路考えるときに安易につながないようにね)。

誤解無いように補足しますが、次回路のLレベル入力閾値に達していないから、次段は、Hレベルと判断するという意味ではありませんよ。そのたさまざまな条件下でもしHと判断されても文句をいうな!!という入力回路側の責任回避の主張であって、Lと判断するのが普通でしょう。Lchikaキットで遊ぼう(シェルコマンド編)で実験結果を示しましたが、ラズパイの汎用入力電圧しきい値は、1V強だと思われるので、過渡領域でふらふらしている不安定時間帯をのぞけば、通常ダイオードの残留電圧くらいでは入力回路は”L"を正しく認知すると思われます( 温度とか3.3V電圧がぶれるとどうかなぁという話はあるので、普通の感覚なら実利用はしませんが)。

一方右図のLEDの場合は、同様に1.8V程度の順方向残留電圧が観察されます。実回路でLEDは明るく発行していますので、いろいろお仕事のために、電圧が下がらないという理解で正しいかと。
このとき同様に流れる電流は(3.3-1.96)/330=4mA程度。 これが、LEDの定格とか、駆動回路(上記例ではラズパイ出力)の定格に対して、十分余裕があるのが必要です。逆に言うと10mAという定格があるんだとすると、150Ω程度以下がまずい領域という意味で、だから、手に入りやすい220や330Ωを使うのが普通だと考えます(多少のことが起きても安心だという話)。
回路定数を考えるときに、この順方向残留電圧Vfは結構重要で、最大電流を考えるときに、この残留電圧も考えてください。

ちなみ赤色LEDなので、このオーダの順方向残留電圧で、同じ赤色でも、半導体(不純物)の種類により電圧変わります。一般論として(赤外線領域含む)暖色系LEDは電圧低く(2V以下)、寒色系やそれも必要な白色は電圧が高い傾向(3V半ば)があるようです( 中間の緑系が2V半ば)。 私有のCQ出版の規格値表は90年代のしかもってないので、詳細不明(オンラインでちらっと眺めた感触で数値を抜き出しました)。

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