保護素子とテスター(回路計)によるチェックの時のお話
2018.09.16(since2017.1.1)
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あまり現実とリンクしないように、ところどころ話を創造します。
電源系統が異なる複数のユニットがあり、インタフェースとして、N-ch MOSトランジスタによるオープンドレインで、他方の電力制御しているシステムがあった。
何か不調なので、個別に取り分けて、手持ちのテスター(回路計)の抵抗測定モードで、なにげなく導通チェックを行った。それで気が付いたのは、テスターの赤黒のテストプローブの当て方や、ディジタルテスターとアナログテスターで、結果が異なるのはなぜか?(不良解析とは別の、何でそうなる?はてな?という疑問)。
結論は、
の3点に関係します。
出力トランジスターに保護素子(ダイオード等)が付いていることと
単体Tr(例えば2skxxシリーズ)には存在しませんが、システムICだと、入力と、電力系一部出力端子に、保護素子が付いているのが普通です(存在すると邪魔な用途があって、有り無しが、端子機能別に、仕様書上区別できます)。それとは別にMOSトランジスタ出力には、寄生ダイオードが存在します(MOSにはバックゲートとか、サブストレートという本来第4の(入力)端子があって、パッケージアセンブリ時に、通常ソースに内部接続されているため一般常識ではソース、ドレイン、ゲートの3端子素子です)。
出力保護素子は、N-chMOS-FET出力の場合、通常TrのソースにつながるGNDと、出力端子Trのドレインの間のダイオードになります。ダイオードのアノード:陽極側はTrのソース(通常GND)に、、陰極:カソード側が出力ドレインにつながっています。 つまりドレインはトランジスタon(ゲート入力Hレベル)になった場合のソース電位=GND電圧と、offのとき(ゲート入力Lレベル)の負荷側から(高位電圧に)引っ張り揚げる2値になるので、通常保護素子ダイオードはどちらの場合もオフのままです。 しかし、コイルのような誘導負荷の場合、過渡変化時間帯に、ドレイン電圧はソース(=GND)よりマイナス電位にふれる場合があり、このとき、通常offだった保護素子ダイオードがオンになりドレインをソース(GND)に引き込むことで、ドレイン電圧範囲を保護する意味があります。 電力素子の場合、誘導電圧の電力も半端ではない可能性あるので、電流を流せるダイオードを、明確に内蔵することが、多いと思います。
MOSプロセスで、特性の良いバイポーラダイオード(PN接続)つくるのは大変なので、ソース・ゲートをGNDに接続したN-ch FETだったりするかもしれません。(等価回路として、逆電圧で、オンになって、GND:ソース電位に引き込むという定性的な動作は同じです)。
さて話のついでに、FETの、ソースとドレイン。回路記号としては、同じに見える絵もありますね? ジャンクションFETの場合、通常対称表記なのかな? この場合、実はよく似ています。定量的に同じかというとそんなわけありませんが、2SKxxとかのFETのソースとドレイン逆につないでも、on/offするかどうか?という定性的動作程度の判定なら同じ動作するはずです(定量的に等しいわけありません。例えば、スピードとか、on抵抗とか、閾値電圧とかetc。さらに、保護回路等、耐久性にも問題でるかもしれませんから、実験で余剰Trで遊びの動作確認する以上の運用はやめてください。遊んだTrを量産セットにつかったりしないように(単体Trでない場合、保護素子が入っていて、動作しない場合もありえますので、あしからず)。
一方、MOSFETの場合は、微妙に区別ある気がしませんか? それは、パッケージ内部で、ソースが、バックゲート(サブストレート)に接続されているからで、逆電位にすると、寄生ダイオードがオンになるため、交換不能です(まれに、第4のバックゲート入力を持っていて、きちんと接続すれば、おおむね入れ替え可能な可能性があると思います。
さらにいうと、IC内蔵の入力端子側にはほぼ間違いなく保護ダイオードが入っています(単体トランジスタは静電破壊によりご注意を)。 MOS ICの入力は、Trのゲート端子につながるのが普通ですが、ゲート端子は、薄い酸化膜でできた絶縁体につながるのですが、これが静電破壊に弱いので、間違って高電圧にならない処理が必要です(さすがに生でつながらないで、直列抵抗も入るかな)。
2018.12.27)実は、入力保護回路がいないというのを特徴とする素子もあるのはあります。入力トレラントというのがそれに当たります。保護素子なくてもトランジスタ君のゲートが、いじめに耐えますというけなげな宣言をしているものです。
その意図は、異なる電圧の素子をつないでも破たんしないということになります。例えば5V出力を3.3V入力素子に印加すると、普通なら保護素子が、ゲート電圧を、3.3Vにダイオード経由で逃がして、ゲート電圧を、3.3Vソース電圧に近い電圧にして保護しようとするわけです。
この機能の素子が無い場合、3.3V側プルアップの、オープンドレイン出力でつなぐとか、抵抗分圧にして、3.3V以上に電圧が上がらないようにするとか、伝搬スピードとか、定常消費電流で、かなり不利益をこうむることになります。
異なる電圧間のインタフェースが必要な場合、考えてみてね。 標準ロジックMSIシリーズならVHCT,LCX,VCX シリーズ御参照ください
さて、気になる点はありませんか?保護ダイオード無くても、そもそも出力Trが、保護素子同等にダイオード動作する説
ソースがGNDにつながって、ドレインが、マイナス電位に振られた場合、ゲートも放置電圧で0Vに違いない。だから、トランジスタはONになると。 実は微妙。長期的にいえば、確かにゲートはGNDレベルに落ちますが、電源が入っていない前提で話をすると、ゲート信号を作る回路も、電源入っていません。すると、ゲートは駆動回路がいない(=オープン)状態というのが一番ありそうです。この場合、ドレインがマイナス電位に振れたら、ゲートドレイン間容量に引っ張られて、ゲート電圧もマイナス電位方向に走るのがただしい(ゲートソース間容量との比で決まるというのがより正確)。つまり瞬時応答でダイオードとして機能するとは限らないということです。 やはり保護ダイオードが必要というのが結論でしょうね。
テスターの抵抗測定方法(原理)
小学校の理科で習ったことがあるはずです。
オームの法則 : V=R*I ; V:電圧(単位V)、I:電流(単位A)、R:抵抗(単位Ω)
はご存知ですか? 変形すると、
R=V/I
回路計(テスター)には、電流計測機能があります。というよりアナログテスターの本体は電流計です。 余談ながら電圧測定モードは、既知の内部直列高抵抗Rを通して流れる電流量から、V=RIの計算式で求める。つまり電流測定時の針のメモリの単位書き換え(電流値にRの値を掛けた数値:正比例をメモリに印字するだけ)することと、規定の高抵抗を電流計に直列接続すること。
電流計で、抵抗値測定するには、抵抗の両端に電源をつないで、その決まった電圧で流れる電流を計ればよいのです。さすがに電流計には測定できる最大電流値や測定可能最小分解能が決まっているので、内部抵抗を切り替えて抵抗に印可する電圧を調整して決まった電流範囲に入るようにレンジ調整されます(アナログテスターなら通常レンジ手動切り替え)。
テスターは、単なる電流計とは違い内蔵電池をもっていて、これを、内蔵電流計と電流制限抵抗を挟んで。テスター棒の両端に、電圧を掛ける機能が抵抗測定レンジになります。測定量はあくまで電流ですから、抵抗値を求めるモードのテスターのメモリは、電流の逆数になっているのが、理解できるでしょうか?(同じ位置の針が示す電流メモリとm抵抗値メモリの数値を、(複数レンジのどれを選ぶかセンスが必要ですけど)電卓ででも計算してみてください実感がわくでしょう)。 抵抗計メモリが、電圧や電流が等間隔なのに、抵抗値では左側が荒く、右側が詳細になっているのは、逆数なので左側(ゼロ側)が急峻なわけです。
というわけで、装置の端子間抵抗測定。
GNDと、N-chFETドレインをテスター棒でつなぐと、GND-端子間に、電池をつなぐことになります(1本の1.5Vか、2本の3Vか、あるいは、消耗して低い電圧なのかいろいろ)。定電圧回路入っている超高級機があると零Ω無調整で使えるんだろうけど、消費電流含めもったいない。したがって、電圧の印可方向により、保護ダイオードがオンになってしまし、導通してしまう場合があります。 さらに、ダイオードは一方向ですから、テスター棒の黒赤どちらをつなづかで、導通がある場合と、ない場合が発生するわけです。
テスター本体の個性があると思いますが、電流測定と、抵抗測定のテスター棒挿入場所が同じ普通のアナログテスター(高級機を除く?)では、黒テスター棒がプラス、赤テスター棒がマイナスというのが一般的だと思います。 抵抗測定モードで、電源(Trのソース相当)と、出力端子(ドレイン相当)間に、保護(寄生)ダイオードがonになるようにテスト棒をあてると、、出力を電源(Trのソース)に引き込むための導通がある(低抵抗)かと思います。 出力に関して保護・寄生ダイオードの有無に相違がありますが、入力端子に関しては、よほど特殊な理由がない限り、保護ダイオードがあるのが普通です。 場合によっては、プルアップ(使用条件の相違でプルダウン)抵抗を内蔵している場合もあります(ただ数kΩより桁違いに高い抵抗かな?)
では、質問です。アナログテスターの抵抗値測定モードで、解放電圧が、1.54[V]でした。別のテスターで測って220Ωの抵抗をこのアナログテスターで測定すると、この抵抗両端の電圧は、0.145「V]でした。内部抵抗値(出力インピーダンス)はいくらか?黒いテスター(ブラックボックス)の出力インピーダンス測定はテブナンの定理が便利です(直列抵抗には同じ電流が流れるという原理を考えれば、内部抵抗に何ボルトかかって、何mA流れているか計算できます。よって後はΩの法則でok。
ディジタルテスターと、アナログテスターの相違
アナログテスターは、内蔵電池電圧を、テスター棒両端に印可し、流れる電流を計ります。したがって一般にトランジスタがオンになる一般電圧0.6Vより高電圧がかかることになります。 電流計として動作するので、赤のテストリードに流れ込んでいく方向が、メータの順方になります。すると、抵抗の両端にテスト棒をつけた状態で、赤テスト棒に電流がながれるためには、この赤テスト棒の当たる端子より被測定抵抗の逆端子が高電位になっているのが、順方向です。だから、アナログテスターの黒側テスト棒の側が+電圧、赤テスト棒がー電圧という事になります(テスター内蔵の電流計の赤テスト棒のつながるのと逆端子が仮想GNDと考えるとわかりやすいと思います。仮想GNDに対して、電池のーがつながって、黒テスト棒に、電池の+がつながるイメージ。。
最初に入手した三和のSP-10というアナログテスターの仕様もそのように記載があった気がしますし、高校の頃読んだラジオ雑誌にもその極性だという解説があったので、テスターの電流測定入力が、抵抗測定入力と同じ一般テスターなら、この極性になっている可能性が高いとおもいます(超高級機は取説含め触ったことも、見たこともないので、使用機器のものを確認してください)。大学の学生実験の時に、黒側が電池のプラスという言い分に、そんなの特殊だと言い張った人がいましたが、アナログテスターに関して、この説明で納得してました(同じグループの数名の個人所有アナログテスターで実際に確認:1台の電圧モードテスターで、抵抗モードの複数テスターの端子間電圧を計測。ディジタルテスターも測定し、こっちは、イメージ通り赤色がプラス電圧出力になるのも確認しました)。
web上あさると一部定電圧と書いてあるのを読んだ気がしますが、特殊な回路ではなく電池電圧(新しければ内部抵抗低いので定電圧という説明は正しい)というのが正解でしょう。 いま手持ちのテスターで0Ω調整ボリューム回しても、オープン時の出力電圧は変化しませんでした(共立 1106:この話を確認するため、中古ショップで偶然見つけて購入。店長さんはお買い得、高級品だと主張していましたが、かえってWEBで調べると、買値は定価の半値くらいの中級器なのでちょっとがっかり。喫茶店コーヒ―4~5回分かな)。
デジタルテスターの場合は、電圧計が基本で、定電流源が、抵抗に電流を流して、発生した抵抗両端電圧を測定することで、抵抗値を求めるという解説が見られます。測定する電圧レンジが低く、trがオンになりません。したがって、導通モード(?)が存在して、ダイオードをオンする電圧を発生して、ブザー等で、オンオフ判別する機能があるのが、多機能型では普通のようです。
手持ちの三和PC101でみると、300~400mV?程度上限の数レンジ切り替えで抵抗測定しているようですので、確かにトランジスタやダイオードがオンになることはないはずです。テスターの抵抗値表示とそのとき抵抗に印可された電圧から逆算しても、必ずしも定電流という結果にはなりませんでした。直流電流源と直列抵抗(切り替え)なのかな?(オーブン時困るからなんだろう?) 電圧測定に使ったオシロのインピーダンスを考慮しても、納得できず。
また、導通チェックモードは0.4V印可で数十Ωでオンと判定ブザー鳴る。ダイオードチェックモードは、3v印可。これならLEDも確かに光る。つまりデジタルテスターなら抵抗測定モードではなく、ダイオード導通チェックモードがあるなら、それを使えば、アナログテスターと同様な特性が見えたという事になります。
(2018.09.16)追記 ところで、寒色系LED(白とか青とか)は、実は3Vではまだ飽和してない。 うちのテスタ買った20年ほど前なら赤とか暖色系なので2もあれば十分導通チェックできたけど、寒色系LEDはまだまだ電圧不足。ネット読んでいると最近のテスターの導通チェックモードは10V程度といっているのを見つけた。内蔵006Pベースなら9Vというのは解らんでもないが、まあ、導通チェックの常識かわりつつあるのかも。しかし5V常用とか3V常用を考えたICに対して、導通チェックの名目で、10V近い電圧かけてええもんか?という疑問は残る。確認するのに最新を買うのはおしいしなぁ(電流プローブとかRS232Cベースのロガー機能には不満あるけど)
さて余談のコンデンサ測定モード(デジタルテスター)
交流電圧電流はかれるのだから、これを使えば、コンデンサの容量が判ります。と話を続けようとしたら、手持ちテスター(PC101)は、そういうC容量値の測定方法ではなかった。ちゃんちゃん。
測定方法は、内蔵既知Rと、被測定Cの直列回路の充電時定数τ=RCから測定しているものと想定されます。 続きはテスターのC測定のページをご覧ください。
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